悪魔のようなアナタ【完】
涼やかで優しげな一重の瞳が、たまに色を帯びることがある。
今のように。
そしてその瞳を見ると、灯里は心の奥がゾワリと撫でられたような気分になる。
「もっと食べるか?」
「ううん、大丈夫。午後から蕎麦だからお腹空けとかないとね。ありがとう晃くん」
「そういえばそうだったな。……桃の後に蕎麦か、せめて逆ならな……」
「そうだね……」
あははと灯里は明るく笑い、晃人を見た。
――――昔と変わらない、幼馴染。
けれど変わっていくものもあるのだということを、灯里は心のどこかで感じ取っていた。