悪魔のようなアナタ【完】
訝しむ灯里の視線の先で玲士は手際よく麺棒で生地を伸ばし、折り畳んでいく。
プロ顔負けのその手際に他の社員も驚愕の目で玲士を見る。
「終わりました」
玲士は香川さんに言い、パンパンと軽く手を叩いて手についた粉を落とした。
どうやら生地打ちは玲士で、あとは女性陣が行うらしい。
玲士が有能だと知ってはいたが、まさかこんなことまでできるとは……。
灯里も慌てて自分の班の捏ね鉢に向き直り、台や麺棒の準備を始めた。