悪魔のようなアナタ【完】
玲士は言い、ヒラヒラと手を振って隣の班へと戻っていく。
灯里は射殺しそうな目でその後ろ姿を睨みつけた。
一体何をしにきたのかアイツは……。
「あれ、灯里ちゃん……。その生地は?」
「か、課長。……あはは、その……」
手元にあるのは、既にどう見ても麺ではなく塊だ。
灯里は慌てて塊に向き直った。
こうなったらもうこのまま切ってしまうしかない。
灯里はすみませんっと心で叫びながら、包丁を手早く動かした……。
こうして、一泊二日の社員旅行は無事に終了した。
最後の蕎麦がどうなったのか……。
――――それは、思い出したくもない。