悪魔のようなアナタ【完】



玲士は淡々と続ける。

取締役や部課長はふむふむと玲士の話を聞いていたが、晃人が軽く手を上げた。


「水澤。質問がある」

「はい」

「この予実績表だが、管理部門の経費配賦はどう処理している?」


晃人の質問に、玲士は手元の資料をちらりと見た。

しばし考えた後、いつもの冷静な口調で言う。


「今回は予定配賦ではなく実績配賦にしています。配賦基準は人件費は人数、光熱費は床面積と機械稼働時間で配賦しています」

「部門の共通経費は?」

「共通経費は売上高基準で配賦しています」

「粗利高ではない理由は?」

「粗利高でも良いとは思いますが、仕入と売上のタイミングが違う部門は月によって変動幅が大きいと思い、売上高にしました」

「なるほど」


ふむと晃人は頷く。

取締役達はぽかんとした顔で二人の話を聞いていた。

話が専門的すぎて理解が追い付かないらしい。


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