悪魔のようなアナタ【完】




どんな理由があろうと朝子の想いを裏切ったのは確かだ。

それについては自分にできうる範囲で償いをしようと思ってはいる。

そして……。


――――脳裏に浮かぶ、輝く笑顔。

昔からずっと守ってきた、大切な幼馴染……。


温かく懐かしい面影は今、これまでにない輝きで晃人の胸の中にいる。

想いは深まり、昔とは違う焼けつくような恋情が心の底からこみ上げる。


「灯里……」


再会して四ケ月。

これまでは昔と同じように灯里を見守り、助けてきた。

けれど朝子とのことが一区切りついた今、もう自制する必要はない。


晃人は足を止め、空を見上げた。

10年前の続きではなく、新しい関係を灯里と築いていきたい。

二人で未来へと歩いて行けるような、新しい関係を……。


晃人は少し笑い、再び歩き出した。

一歩も引けぬ戦いがこれから始まろうとしていた。



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