悪魔のようなアナタ【完】
10月の初め。
初秋の爽やかな風が窓から室内へと入ってくる。
灯里はデスクに座り、パソコンで10月末に発表する中間決算書の原稿を作成していた。
といっても灯里が作っているのは電機設備課の部分のみで、これを10日ぐらいに経営企画室に提出する。
以前玲士の地獄の特訓を受けたおかげで、資料作成はだいぶスムーズにできるようになってきた。
これまでは山岡課長がやっていた資料作成の仕事が今は3割ほど灯里に回ってくるようになった。
忙しいが、やりがいがある。
中間決算書は一般的には『中間決算短信』と呼ばれるもので、4月から9月までの企業の業績を投資家などに発表するための資料だ。
発表資料としては他に『キャッシュフロー計算書』等があるが、そちらは専門的すぎて灯里の知識では理解できない。
これらの資料を作成し、当たり前のように理解している玲士と晃人はやはりすごいと思う。
「えっと……9月の売上は、2000万っと……」