悪魔のようなアナタ【完】



「なに? もう上がり?」

「今日は用事があるの」

「そう。おれもお前に用事があるんだけど?」


くすりと悪魔は笑い灯里を見下ろす。

灯里は上目づかいで悪魔を見上げた。

――――なんというタイミングの悪さ。

あと1分でも早く出ていればと思うが、後の祭りだ。


「この資産台帳なんだけど。これ、何?」


玲士はノートパソコンを開いて画面上の資料を指差した。

そこには電機設備課の商品部品の一覧が並んでいる。

それは三日ほど前に灯里が記入し提出したもので、一次取り纏めは経営企画室だが最終的には経理部でこれを元に会計処理が行われる。

玲士が指差している部分を見、灯里は眉を上げた。


「あれ? それ……」

「耐久年月が書いてない。永久に壊れないエアコンなんてあるの?」


< 250 / 350 >

この作品をシェア

pagetop