悪魔のようなアナタ【完】
「うん、今行くよ」
灯里はにこりと笑って柾貴の頭をガシガシっと撫でた。
まだ成長期に入っていない弟は灯里より少し背が低く、手を伸ばすとちょうど良い位置に頭がある。
反抗期もまだで、灯里にも家族に対してもとても素直だ。
このまま大人になってほしいなと思う反面、この可愛さのまま大人になってはまずいような気もする。
灯里の視線の前で、柾貴は可愛らしく首を傾げた。
「どうしたの? お姉ちゃん」
「ううん、なんでもないよ。下に行こうか」
灯里は柾貴の肩を抱き、廊下へと歩き出した。