悪魔のようなアナタ【完】
週末の金曜。
夕刻、灯里は休憩室で缶コーヒーを片手に物思いに耽っていた。
――――あれから一週間。
何度考えても自分の気持ちがわからない。
晃人を好きかと言われれば、迷わず好きだと答えるだろう。
近くにいると安らぐし、たまに見せる表情にドキドキしたりもする。
しかしそれが恋愛感情かというと、何か違う気もする。
「うーん……」
灯里は頭を抱え込んだ。
そのとき。
休憩室のドアが開き、見覚えのある男が入ってきた。
「あれ。……お前、こんなところにいたの」
「水澤くん?」
灯里は顔を上げ、玲士の顔を見た。
玲士はいつもの氷のような瞳で灯里を見下ろし、隣に座る。