悪魔のようなアナタ【完】



呆然とする灯里の目尻に涙が溜まっていく。

玲士は目尻にそっと口づけ、指先で涙をぬぐった。


「聞こえた? 灯里」

「……っ、水澤、くん……」

「もうわからないとは言わせないよ? もしまた言ったら、別の方法でお前に教えるからね?」


玲士は透明感のある綺麗な瞳を細めて笑った。

その優しい笑みは灯里の心の奥深くに染み渡っていく。


何も、考えられない……。


体を震わせる灯里を玲士の腕がそっと抱き寄せる。

灯里は玲士の腕の中で呆然と玲士を見上げていた――――。


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