悪魔のようなアナタ【完】
「電機設備課の売上は全社比で5%。金額的には軽微です」
「となると、株価にはあまり影響が出ないと考えていいか?」
「と思います。明日はこのまま発表し、後日訂正という形で再発表するのはいかがでしょうか?」
玲士の言葉に沢井室長や真木部長がふむふむと頷いた。
晃人も頷き、顔を上げる。
「ではそういう方向で進めてください。沢井室長、修正発表用の資料の準備をお願いします」
「畏まりました」
沢井室長は一礼し、役員会議室を出て行った。
他の部課長や玲士もそれに続く。
灯里も最後に出ようとしたが、出際に晃人に後ろから腕を引かれ会議室に残った。
灯里の目の前でパタンと扉が閉じる。
「……っ」
息を飲んだ灯里に晃人は安心させるように笑いかけた。
大きく温かい晃人の手が灯里の頬を包み込む。
灯里は一瞬びくっとしたが、晃人の優しい眼差しに肩の力を抜いた。