悪魔のようなアナタ【完】
3.灯里の勘
昼過ぎ。
灯里が給湯室に入ると既に先客がいた。
忘れもしない、真っ直ぐな黒髪に朝の湖を思わせる透明感のある瞳。
玲士だ。
「……」
思わずくるりと踵を返そうとした灯里の腕を、玲士がとっさに掴む。
そのまま引きずり寄せらせ、壁に押し付けられた。
「……っ、何すんのよっ」
「何もしないよ。お前が大人しくしてればね?」
目を細め、くすりと玲士は笑う。
その綺麗な瞳を灯里は上目遣いで見上げた。
こいつが自分を好き、など……。
やはりどこか信じられない。