悪魔のようなアナタ【完】



晃人は美奈を見、くすりと嗤う。

その表情に美奈は背筋が凍りつくのを感じた。

と同時に直感が告げる。


――――出向は、晃人の差し金だ。


肩が震え、唇がわななく。

美奈は晃人を見上げ、掠れた声で言った。


「どうして、ですか……」

「……」

「なぜ、私が出向に……?」


震える声で言った美奈に、晃人は鋭い視線を投げた。

ひと突きで相手を絶命させるような、容赦ない瞳に体が凍りつく。


「身に覚えがないとは言わせない」

「……っ……」

「7月の電機産業展のパンフレットのデータ消失。電機産業展での吉倉の怪我。そして決算短信のデータ差し替え」


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