悪魔のようなアナタ【完】



晃人は突きつけるように淡々という。

美奈は彫像のように固まった。

――――まさか、晃人は全て気付いていたのだろうか?


固まった美奈に、晃人はさらに冷たい声音で言う。


「わからないとでも思っていたか?」

「……」

「二回目までは黙っていたが、今回の短信の件は見逃すことはできない。数値によっては株価が変動し、会社に多大な損害が出ていたかもしれない」

「……」

「本来ならクビで警察沙汰だ。出向で済んだのは社長の情けだ」


晃人の瞳がかつてない鋭さで美奈を見据える。

震える美奈に、晃人は数歩近寄った。

その射殺すような目に背筋が凍りつく。


「……そして、灯里に危害を加えたこと」

「……っ……」

「俺は貴様を未来永劫、許しはしない」

「……っ……」

「もし今後灯里に危害を加えるようであれば、貴様だけではなく貴様の家族や親戚に至るまで、俺の全力でもって社会的に抹殺してやる」


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