悪魔のようなアナタ【完】



晃人はゾッとするような低い声で言い、クスリと嗤った。

苛烈な、昏い刃のような瞳で美奈をじっと見据える。

美奈はなすすべもなく晃人を見上げていた。


「確かお前の父は、忍村の仕入先に勤務していたな?」

「……」

「そしてお前の弟は、今度の春に市役所に入る予定だ」

「……っ」

「お前が警察沙汰になれば、お前の父や弟はどうなると思う? さぞかし楽しい人生になるだろうな?」


晃人は唇の端を歪め、愉しげに嗤いながら言う。

美奈は無言のまま凍りついていた。



――――悪魔だ。




< 293 / 350 >

この作品をシェア

pagetop