悪魔のようなアナタ【完】
晃人はゾッとするような低い声で言い、クスリと嗤った。
苛烈な、昏い刃のような瞳で美奈をじっと見据える。
美奈はなすすべもなく晃人を見上げていた。
「確かお前の父は、忍村の仕入先に勤務していたな?」
「……」
「そしてお前の弟は、今度の春に市役所に入る予定だ」
「……っ」
「お前が警察沙汰になれば、お前の父や弟はどうなると思う? さぞかし楽しい人生になるだろうな?」
晃人は唇の端を歪め、愉しげに嗤いながら言う。
美奈は無言のまま凍りついていた。
――――悪魔だ。