悪魔のようなアナタ【完】



「じゃあぼく、出るからね~。直帰だから君も定時後はテキトーなとこで上がるように」

「はい、行ってらっしゃい」


灯里はにこりと笑って手を振った。

山岡はこれから客先に向かって直帰するらしい。


灯里は机の上のノートパソコンを閉じて後ろの壁際に並んだキャビネットへと向かった。

灯里が所属する電機設備課には現在4人在籍している。

課長の山岡を筆頭に、40代係長の代田、30代の高浦、灯里という組み合わせだ。

灯里は紅一点で、他は全員男性。

それなりに忙しいが和気藹々とした雰囲気で、職場の雰囲気としてはいい方ではないかと灯里は思っている。


「資料の整理でもしようかな……」


電機設備課は会社向けのエアコンや複合機等の電機機器を販売する部署だ。

販売や設置は男性社員が行い、灯里は事務を一手にまとめて行っている。

見積書や請求書を作るのが主な仕事だが、エアコン等の商品の在庫管理や発注処理も行っている。


灯里ははぁぁと背伸びをし、肩をコキコキと回した。

入社して3年が過ぎ、仕事にも大分慣れて中だるみと言われる時期に差し掛かっている。


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