悪魔のようなアナタ【完】
九章
1.闇に葬った過去
11月上旬。
灯里は先月分の請求書の発送作業を行っていた。
販売管理システムから先月に納品した分の請求書を印刷し、山岡課長のチェックを受け、得意先に発送する。
「えっと、これは……」
灯里は事前に作成しておいた得意先別売掛リストで印刷した請求書と金額に差異が無いかを確認していた。
リストはパソコンの表計算ソフトを使って作ったもので、以前玲士に作り方を教えてもらった。
いろいろなソフトに精通している玲士はやはりすごい。
と、請求書を確認していたとき。
「そういえば灯里ちゃん。来週の月曜って空いてる?」
山岡課長に声を掛けられ、灯里は手を止めた。
机の上に置いてあったスケジュール帳を開いて確認し、顔を上げる。
「ハイ、空いてます」
「じゃあ、三村電機に一緒に来てもらっていいかな? 得意先向けのレセプションがあるんだよね」
「レセプション、ですか?」
「うん。新しいエアコンの説明会と、立食パーティだって」