悪魔のようなアナタ【完】
しかし悪夢は終わらなかった。
それから理代はたびたび玲士の部屋に現れるようになった。
皆が寝静まった深夜、理代は影のように現れて玲士の体を蹂躙した。
『……っ、あぁっ……』
玲士はぎゅっと目を瞑り、悪夢が通り過ぎるまでひたすら耐えた。
女の言葉が玲士の心を鎖のように縛り付けていた。
『知られたら、あなたのご両親もお兄さんも悲しむわ。そうでしょ?』
――――このことが明るみになったら、家族は崩壊してしまう。
その時の玲士にできることは、この闇が自分の上を通り過ぎるまでひたすら耐えることだけだった。
そんな中、玲士はいつしかあの時の少女の面影に縋るようになっていた。
灯里との想い出だけが玲士の心を明るく照らしてくれた。
――――輝く瞳の少女の面影。
この想い出だけは汚されないように、守りたい……。
悪夢は絶えることなくやってくる。
しかし未成年の玲士にはどこにも行く場所がない。
襲い来る恐怖と不安、そして穢れた自分への嫌悪感に雁字搦めになり、玲士は身動き一つできない状態になっていた。
玲士の精神は疲弊し、この悪夢からどう逃げればいいのか、それだけを考えるようになっていた……。