悪魔のようなアナタ【完】
そして数年後。
玲士は大学進学を機に家を出て一人暮らしをしたいと両親に言った。
両親は最初強硬に反対したが、玲士が粘った結果、二つの条件を呑むならと許してくれた。
一つは近隣の大学に入って近隣に住み、将来は近隣の企業に勤めること。
もう一つは最低月に二度は家に顔を出すこと。
玲士はその条件を承諾し、実家を出て一人暮らしを始めた。
あの悪夢から逃げられるのならばどこでも良かった。
大学も、住む場所も、勤め先も……。
自分の将来についてなど、その時の玲士には考える余裕もなかった。
そして玲士が大学2年の時、兄と理代は結婚した。
理代は玲士の実家に嫁として入り、今は2児の母となっている。
玲士が一人暮らしを始めてからはさすがに理代も来ることはなくなった。
玲士も理代を徹底的に無視し、今はもう用事がなければ会うことはない。