悪魔のようなアナタ【完】

2.レセプション





月曜。

灯里は社用車で山岡課長とともに三村電機へと向かっていた。

晃人は現地で合流するらしい。


三村電機の本社は灯里の街から車で二時間ほど行ったところにある政令指定都市の街の中心部にある。


「けっこう渋滞してますね~」


助手席に座った灯里は窓の外を一瞥し口を開いた。

灯里は免許は持っているがペーパーなため、山岡課長が運転している。

きょろきょろと辺りを見回す灯里の横で山岡課長が前方のビルを指差した。


「もう近くまで来てるんだけどね~。ほら、あのビル」


山岡課長が指差した先にガラス張りの大きな社屋が見えてきた。

その大きさに灯里は驚き目を見開いた。


「大きいですね~」

「ほら、三村電機ってアメリカの……なんて会社だっけ? 有名なとこ。そこの出資受けてるからさ」


山岡課長の言葉にふむふむと灯里は頷いた。

三村電機はとあるアメリカ企業の出資を受け、この数年間で急成長した。

その企業の名前はど忘れし、思い出せない。

< 312 / 350 >

この作品をシェア

pagetop