悪魔のようなアナタ【完】
4.遠慮はしない
二時間後。
車に戻った二人はそのまま山頂の展望台へと向かった。
展望台の駐車場に駐車したところで、晃人が灯里に視線を投げる。
「外は寒い。車の中から見た方がいいだろう」
この時期、温暖なこの街でも外は10度以下の寒さになる。
ましてや夜の山頂となれば気温は氷点下だろう。
灯里は頷き、窓の外に目を向けた。
冴え冴えと光る星明りの下、海から山の裾野まで光の海が広がっている。
海沿いに見えるひときわ輝く光は埠頭の船やクレーンだろうか。
目を輝かせる灯里に、晃人が助手席の背を抱く感じで横から顔を寄せる。
ふわっと香るブラックティーの香りにドキッとしつつ、灯里は唇を開いた。
「夜景見るのって、すごい久しぶり……」
「そうか」
「きれいだね、晃くん。連れてきてくれてありがとう」