悪魔のようなアナタ【完】




晃人の腕が灯里の肩に回り、ゆっくりと抱き寄せる。

唇から伝わる情熱が、甘いブラックティーの香りが、灯里の心を熱く包み込んでいく。


「愛してる、灯里」

「……晃くん……」

「――――お前が、欲しい」


耳に忍び込んだ晃人の言葉に、灯里ははっと目を見開いた。

流されかけた心がすんでのところで踏み止まる。


さすがの灯里といえど、晃人の言葉の意味がわからないわけではない。

しかしまだとてもそんな覚悟はない。

灯里は慌てて顔を上げ、晃人の顔を見上げた。


「で、でもあたし、その……まだ……」

「……」

「それに、晃くん……ま、待つって……」


と困惑しつつ灯里が言うと。

晃人は少し体を離し、くすりと笑った。


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