悪魔のようなアナタ【完】
「俺は待つとは言ったが、何もせず待つわけじゃない」
「……っ!」
「お前が俺を好きになるように……。遠慮はしない」
晃人は言い、再び灯里の唇にそっと口づけた。
……唇から伝わる、優しい熱。
先ほどとは違う愛おしむような口づけに、灯里の胸がトクンと高鳴る。
「でもお前が嫌がることをするつもりはない」
「……晃くん……」
「安心しろ、灯里。俺はお前を大事にしたい。お前を傷つけたくはない」
言葉と共に晃人の手が灯里を抱き寄せる。
晃人の温もりに包まれ、灯里の胸に温かい気持ちが広がっていく。
――――やはり、晃人は大人だ。
灯里をドキドキさせる強引さと、灯里を安心させる優しさを持っている。
10年経ち、幼馴染は灯里の想像以上に魅力的になっている。
このまま傍に居たら、気付かぬうちに陥落してしまうかもしれない……。
灯里はコクリと息をのみ、頬を染めて俯いた……。