悪魔のようなアナタ【完】
5.悪魔の企み
翌日の昼過ぎ。
灯里はレセプションで貰ってきた資料を複合機でスキャンしていた。
資料を画像データに変換してサーバに置いておけば、他の社員も中身を見ることができる。
灯里は一枚、また一枚と複合機に資料をセットしてスキャンした。
――――と、残り3枚ほどになった時。
階段の方から資料を手にした玲士が歩いてくるのが見えた。
複合機は各階にあるが、2Fにある複合機が最も高性能で印刷するスピードも速い。
こちらに歩いてくるところを見ると、どうやら玲士も複合機を使いたいらしい。
とはいっても先に使っているのは自分だ。
灯里は玲士の顔をちらりと一瞥し、そのまま作業を続けた。
「……」
玲士は灯里の横で足を止め、見下ろした。
無視してひたすら作業を続ける灯里を氷のような目でじっと見つめる。
いつもは顔を合わせばすぐ毒のこもった言葉を吐いてくるのだが、今日はなぜか静かだ。