悪魔のようなアナタ【完】



と呟いた玲士の瞳がすーっと細められ、灯里を見つめる視線がブリザードの冷たさを帯びる。

――――やばい。

と直感で思った灯里はとっさに逃げようと思ったが、複合機に資料がセットされているため逃げるに逃げられない。


「へぇ……。そういえば昨日、山岡課長は社用車で戻って来たね?」

「……」

「お前は直帰って聞いたけど、どうやって帰ったわけ?」


玲士は冷たい声で灯里に尋ねる。

とその時、ピーッという音と共にスキャンが終わった。


このままこの話題でつっこまれたらヤバイ気がする。

灯里はとっさに資料を取り上げ、踵を返そうとした。

が。


「ちょっと、何すんのよっ!?」


玲士の手が灯里が手にした資料をさっと取り上げる。

そのまま玲士は踵を返し、スタスタと給湯室の方へと歩き始める。


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