悪魔のようなアナタ【完】
――――5分後。
灯里は恐る恐る給湯室へと足を踏み入れた。
その瞬間。
「遅かったね」
玲士の声と共にぱたんと扉が閉じられる。
ヒィと灯里は背筋を強張らせた。
給湯室は普段、扉が開けっ放しになっているのでその存在を気にしたことはなかった。
しかし今、よりによって悪魔とこの狭い空間に二人きりだ。
――――マズイ。
と思うがすでに遅し。
灯里はじりじりと後ずさった。
扉の前には玲士が立っているため逃げるに逃げられない。
恐怖のあまり頬を引き攣らせる灯里に、玲士はうっすら笑って告げる。
「さて、さっきの話の続き。誰と帰ったの?」
「……」
「あいつ? ……神園取締役?」