悪魔のようなアナタ【完】
灯里は無言のままじっと玲士を睨み上げていた。
頷いてしまったら最後、きっと悪魔に頭から食べられてしまうに違いない。
見上げる灯里に、玲士は唇を歪めて笑った。
「……で? 二人でそのままホテルにでも行ったとか?」
「……っ」
「そうなの?」
玲士の瞳がこれまでにない鋭さで灯里を見据える。
嫉妬と熱情、そして切望に満ちた瞳に灯里は目を見開いた。
玲士のこの瞳を前にすると灯里は魂を吸い取られたかのように動けなくなる。
灯里は必死で目を反らし、叫ぶように言った。
「晃くんはそんなことしないっ!」
「……へぇ、そう?」