悪魔のようなアナタ【完】
玲士の言葉に灯里は目を見開いた。
玲士はいつになく切なげな瞳でじっと灯里を見つめている。
この瞳は、前に蔵王の旅館で見た時と同じだ。
――――真剣で、切なげな瞳。
灯里は吸い込まれるように玲士を見上げていた。
やがて。
玲士は灯里の頬からそっと手を離し、目を細めて笑った。
「まぁ、どちらでもいいよ。結果は変わらない」
「……?」
「何年かかっても、おれはお前を振り向かせるから。お前が別の奴のところに行こうと、最後にお前を手に入れるのはおれだよ」
玲士はひどく切なげな瞳で囁くように言う。
灯里は氷のように固まったまま玲士を見上げていた。
玲士の感情が――――切なさと渇望が、瞳越しに流れ込んでくるような気がする。