悪魔のようなアナタ【完】
「次は決まっているのかね?」
「いえ、まだです。が、本業で勝負しようと思っています」
「国際会計か?」
「はい」
玲士は頷き、じっと沢井を見た。
その瞳にはもう迷いはない。
「来年は国際会計基準の変更もある。君が活躍できるフィールドは広い。健闘を祈るよ」
「はい、ありがとうございます」
「ところで退社日は12月末でいいのかね? 有給消化は?」
「そうですね、20日頃から有給消化したいと思っています」
玲士の言葉に、沢井はふむと頷いた。
しばし退職届を見つめた後、再び玲士を見上げる。