悪魔のようなアナタ【完】
午後の休憩室。
玲士は缶コーヒーを片手に椅子に座っていた。
『君は人生を本気で生きていない。だから君がいくら想いを寄せても、灯里が今の君を受け入れることはないだろう』
いつかの晃人の言葉が胸をよぎる。
玲士は腕を組み、天井を見上げた。
――――人生を本気で生きる、ということ。
浮草のような今の自分を灯里が好きになることはない。
そして自分も、……こんな自分では、自分自身納得ができない。
例え遠回りになろうと、今しなければならないことがある。
こんな状態で晃人と戦い、灯里を永遠に逃すのは耐えられない……。
「灯里……」
例え何年過ぎても、例え灯里が晃人を選んだとしても……。
最後には灯里に選ばれるぐらいの人間になりたい。