悪魔のようなアナタ【完】



これまで出会ってきた人間の中で、玲士にここまで思わせたのは灯里だけだ。

灯里を得るために自分の立ち位置を再構築する。

――――彼女を得られるのであれば、何でもできる。


離れている間に灯里は晃人を選ぶかもしれない。

そう想像しただけで胸に引き裂かれるような痛みが走る。

けれど今のままでは、灯里は永遠に手に入らない……。


諦めた方がいいのかと何度も思った。

けれどどうしても、諦められない。

諦めようと思うたびに諦めるぐらいなら死んだ方がましだと思った。

多分一生、玲士の心は灯里にのみ向けられるのだろう。


――――脳裏に蘇る、優しい思い出。

自分の心を幾度となく救ってくれた、輝く笑顔。


自分の全てを賭けて戦い抜き、いつか灯里を手に入れる。


玲士は缶コーヒーを片手に立ち上がった。

未来のための戦いが、これから始まろうとしていた……。



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