悪魔のようなアナタ【完】
「灯里、何そのカオ?」
「…………」
「幽体離脱してるの? それとも違う世界でも見ちゃってる?」
「…………」
「間抜けな顔が、さらに間抜けになってるよ? 人間としてヤバイよその顔」
「…………」
「ついに人間を辞める時が来たか?」
「……ってうるさーい! 人が考え込んでる時にっ!!」
灯里はいつのまにか隣に座っていた玲士をキッと睨みつけた。
刺すような灯里の視線の先で、玲士は肩をすくめて灯里を見下ろす。
「だってお前、ホントにヤバイ顔してたからさ」
「ちょっと考え込んでただけでしょ!」
「考える? ……そんな高度なこと、ミジンコでもできるの?」
玲士はクッと笑い、飄々と言う。
相手にするだけバカらしい、と灯里は携帯に視線を戻した。
その視線を追いかけるように玲士も携帯を覗き込む。
「ちょっと、見ないでよ」
「……何? 男からメール?」