悪魔のようなアナタ【完】
指を伸ばそうとした玲士の手を避け、灯里は慌てて携帯を閉じた。
晃人からだとバレるといろいろ面倒なことになる。
晃人と幼馴染だなどと知れたら下手したら脅されるかもしれない。
灯里は誤魔化すように慌てて言った。
「そっ、そうよ。あたしにも一人や二人、メールくれる男の人がいるんだからねっ」
「……へぇ。そうなんだ?」
玲士のテノールの声が氷の冷やかさを帯び、灯里の耳を打つ。
その透明感のある美しい瞳は今や氷のように冷たい。
その瞳に気圧されそうになりながらも、灯里は背筋を伸ばして立ち上がった。
「じゃあねっ」
ここにいると墓穴を掘りそうで怖い。
灯里は玲士を振り返ることなく逃げるように休憩室を出た……。