悪魔のようなアナタ【完】
<side.玲士>
灯里の姿が見えなくなった後。
玲士は休憩室の椅子に寄りかかり、考え込むように腕を組んだ。
今、灯里が見ていたメール……。
誰なのかはわからないが、あのメールを見ていた灯里は明らかにこれまでとは違う表情を見せていた。
何かを懐かしむような、それでいてどこか淋しげな……。
これまで男っ気が全くなかった灯里がまさかあんな表情を見せるとは思わなかった。
「いつからだ?」
玲士は呟き、先週のことを思い出した。
あの集会の場で灯里は壇上の男を食い入るように見つめていた。
今思い出すと、あの時の表情と先ほど見せた表情は似ている気がする。
――――神園晃人。