悪魔のようなアナタ【完】
晃人はエスコートするように店のドアを開け、そっと灯里の肩を押す。
そんな仕草もスマートで大人っぽい。
昔はつけていなかったブラックティーの香水の薫りが灯里の鼻先に漂う。
晃人の全てが灯里を驚かせ、戸惑わせる。
二人はウェイトレスに案内され、窓際の席に向かい合って座った。
晃人がメニューを取り上げ、開いて灯里に差し出す。
「何にする?」
「……えっと……」
「昔のイメージだと、お前はコーヒー牛乳ばかり飲んでたような感じだが」
「……っ」
さすがにコーヒー牛乳はカフェには置いていない。
灯里は頬を染め、しばしメニューを眺めた後カフェオレを頼むことにした。
それにしても、晃人がそんなことを覚えていたとは……。
驚く灯里に晃人は少し笑った。
「ちなみに俺の好きなものは何か、覚えてるか?」
「……えっと、紅茶? アールグレイ?」
「正解」