悪魔のようなアナタ【完】
<side.晃人>
19:00。
3Fの取締役室を出、階段を下りていた晃人は2Fの端に灯里の姿を見つけて足を止めた。
社員が数人残業している中、灯里も何やらパソコンの画面を見つめている。
恐らく例の資料を作っているのだろう。
灯里は昔から新しいことが好きで、晃人が新しいおもちゃや新しい遊びを教えるとすぐに飛びついた。
昨日、あの会議室で見せたような輝く瞳で……。
「灯里……」
晃人は口元に懐かしげな笑みを刻んだ。
灯里のきらきら輝く目を見たくて、晃人は二人でいろいろな遊びをしたことを思い出した。
川に行ったり、公園で遊んだり、家で絵本を読んだり……
晃人は一人っ子で兄弟がいなかった分、灯里を兄弟のように思っていた。
歳は離れていたが灯里も晃人に懐き、二人でいろいろな遊びをした。
幼い頃の暖かく懐かしい思い出は今も晃人の胸の中で淡い輝きを放っている。