悪魔のようなアナタ【完】
2.灯里の涙
<side.晃人>
定時後。
会議を終えて廊下を歩いていた晃人は、廊下の奥から聞こえる声に足を止めた。
廊下の奥には小さな会議室がある。
どうやら中で誰かが会議をしているらしい。
なんとなく気になり、晃人は廊下の奥へと歩いて行った。
近づくにつれて男の怒鳴り声と女の泣き声がする。
ドアの隙間から覗いた晃人はその衝撃の光景に思わず目を丸くした。
『……うっ……ぐすっ……』
『泣いたって終わらないよ。あと二日しかないんでしょ?』
パソコンに向かい、涙を流しているのは……。
「灯里?」
パソコンに向き合った灯里の目尻からぽろぽろと涙が流れている。
あのときのきらきらした瞳の輝きはどこにもない。
晃人は息をのみ、目を凝らした。
パソコンの脇に積み上げられた書類の一番上にある資料には『付加価値の創造』とある。
「……っ……」