悪魔のようなアナタ【完】
夕方。
灯里は山岡課長とともに真木部長のもとを訪れ、作った資料を提出した。
「ほほう、どれどれ……」
真木部長はパラパラと資料をめくっていたが、やがて無言になり食い入るように資料を見始めた。
やがて、数分後。
「吉倉くん」
「はい」
「君、資料を作るのは初めてだと言ったが……。凄い完成度だ、驚いたよ」
真木はまじまじと灯里を見、眼鏡の奥でにこりと笑った。
その笑顔に、灯里の胸に熱いものが広がっていく。
――――あの地獄を体験したのは無駄ではなかった。
「君一人で作ったのかね?」
「いえ……。実は経営企画室の水澤くんにいろいろ教えてもらいました」
灯里は真木を見つめ、素直に言った。
悪魔ではあるが玲士の能力は一流だった。
彼の助けがなければこの資料を作れなかったのは事実だ。