悪魔のようなアナタ【完】
「水澤って……あの水澤かね? きみの同期の?」
「はい」
「あれが君に協力するとはね……。珍しいこともあるものだ」
ははと真木は笑い、灯里を見上げた。
いつもは神経質そうな目が柔らかく細められ、見守るように灯里を見る。
「吉倉君。同期や同僚というのは、会社で生きていくうえで非常に大切なものだ。今はあまり実感がないかもしれないが、年を経るにつれてわかるだろう」
「はい」
「その人間関係を大事にしなさい。特に水澤のような人間との人間関係は、なかなか得られない貴重なものだ」
部長の言葉が胸に染みわたる。
灯里はこくりと頷いた。
――――明日、玲士にお礼を言おう。
例え魔王でも自分を助けてくれたことに変わりはない。
灯里は決心し、山岡と共に電機設備課の自席へと戻った……。