悪魔のようなアナタ【完】
一時間後。
灯里はこの間と同じカフェで雑誌を読んで時間をつぶしていた。
そろそろ約束の時間だ。
と、入り口のドアが開き見覚えのある男性が入ってきた。
「灯里」
晃人は店内をぐるりと見渡し、窓際の席にいる灯里の姿を見つけると微かに目を和めた。
大股で歩み寄り、灯里の向かいに腰を下ろす。
「待ったか?」
「ううん。私もさっき来たばかり」
灯里が少し笑って言うと、晃人も頬を緩めて笑った。
いつも強い光を浮かべている覇気のある目元に柔らかな光が浮かぶ。
昔から見知った晃人の笑顔だ。
「ちょっと出るのに手間取ってな。そういえば、お前が作った資料を見させてもらったよ」
「晃くん……」
「かなり良い出来だった。頑張ったな、灯里?」