悪魔のようなアナタ【完】
晃人の言葉に、灯里はほっと胸をなでおろした。
とりあえず晃人の期待に応えることはできたらしい。
安心したせいか、目頭が熱くなり目尻にじんわりと涙が滲む。
どうやらあの地獄の後遺症がまだ残っているらしい。
灯里は慌てて目頭を押さえて何でもない振りをしようとしたが、晃人は目ざとくそれを捉えた。
「灯里……」
晃人の瞳がかすかに陰り、気遣わしげに灯里を見る。
灯里は慌てて笑顔を浮かべた。
スーツを着こなした晃人はまさに大人の男という感じで、取締役としての風格もある。
そんな彼の前でこんな風に弱い顔を見られてしまう自分は、……まだ子供だ。
精神年齢の違いや立場の違いをはっきりと感じ取り、灯里は内心でため息をついた。
「灯里、どうかしたのか?」
「あ、ううん。なんでもないよ……」
と慌てて言った灯里だったが。
続いた晃人の言葉に思わず目を見開いた。