悪魔のようなアナタ【完】
4.悪魔の急接近
翌日の昼休み。
灯里は3階に上がって経営企画室へと向かった。
既にお昼は済ませ、残り時間はあと15分というところだ。
経営企画室の奥に目当ての人物を見つけて声をかける。
「水澤くん」
灯里の声に、玲士はゆっくりと顔だけ振り返った。
――――相変わらずの冷たい瞳。
玲士は読んでいた新聞を畳み、灯里の方へと歩み寄ってくる。
「なに? 何か用?」
「この間のお礼を言いたくて。いろいろありがとね」
「…………」
「それだけ。邪魔してごめんね。じゃあね」
と、踵を返しかけた時。
腕をガシッと掴まれ、灯里は思わず息を飲んだ。
はっと顔を上げると至近距離に玲士の透明感のある瞳が見える。
固まった灯里を玲士はじっと見つめる。