悪魔のようなアナタ【完】



なかなかやってこない唇にうっすらと目を開けると……。

玲士は少し顔を引き、正面から灯里を見据えていた。

その瞳はこれまでにない真剣な光を湛えている。

灯里は驚き、思わず目を見開いた。


「……水澤くん?」

「やっぱやめた。……ひとつ、質問に答えて?」

「?」

「貸しを全てチャラにしてやるから、真面目に答えて。いいね?」


玲士の瞳がまっすぐに灯里を射抜く。

心を見透かすような真剣な瞳に、灯里は思わず息を飲んだ。

玲士は灯里を見つめたまま固い声で言う。


「あのメールの相手。『晃くん』のフルネームは何? お前との関係は?」

「……え?」

「答えて、灯里」


いつもの冷静な声とは違う、切羽詰まったような声が灯里の耳に忍び込む。

突然態度の変わった玲士に灯里はしばし動揺していたが、やがて観念し口を開いた。






< 94 / 350 >

この作品をシェア

pagetop