悪魔のようなアナタ【完】
なかなかやってこない唇にうっすらと目を開けると……。
玲士は少し顔を引き、正面から灯里を見据えていた。
その瞳はこれまでにない真剣な光を湛えている。
灯里は驚き、思わず目を見開いた。
「……水澤くん?」
「やっぱやめた。……ひとつ、質問に答えて?」
「?」
「貸しを全てチャラにしてやるから、真面目に答えて。いいね?」
玲士の瞳がまっすぐに灯里を射抜く。
心を見透かすような真剣な瞳に、灯里は思わず息を飲んだ。
玲士は灯里を見つめたまま固い声で言う。
「あのメールの相手。『晃くん』のフルネームは何? お前との関係は?」
「……え?」
「答えて、灯里」
いつもの冷静な声とは違う、切羽詰まったような声が灯里の耳に忍び込む。
突然態度の変わった玲士に灯里はしばし動揺していたが、やがて観念し口を開いた。