悪魔のようなアナタ【完】
<side.玲士>
灯里が去った後。
玲士は給湯室の壁に寄りかかり天井を見上げた。
その目元には困惑と苦悩が漂っている。
「灯里……」
――――まさか、幼馴染とは思ってもみなかった。
あの会議室で灯里が晃人に向けていた視線……。
メールを読むときのあの視線……。
懐かしそうな、それでいて困惑するようなあの視線の意味がようやく理解できた。
しかし……。
10年前ということは、灯里が15歳になるまで晃人は隣に住んでいたということになる。
そしてその時、晃人は22歳だ。
15歳だった灯里はともかく、22歳だった晃人は明らかに大人だった。
そんな二人が、10年ぶりに再会した……。