悪魔のようなアナタ【完】



「……っ、灯里……」


10年ぶりの再会だったのは玲士も同じだ。


――――中学一年の時。

吹奏楽部の合同練習で玲士は初めて灯里に出会った。

その美貌と毒舌さゆえに、玲士は当時周りから距離を置かれていた。

そんな玲士に灯里は臆することなく話しかけてきた。


玲士の毒舌をものともせず輝く瞳で笑った灯里。

灯里にとっては忘れられない思い出だったようだが、それは玲士も同じだった。



――――初恋。



玲士は灯里の輝く瞳に魅せられ、明るく話しかけてくる彼女に心を奪われた。

……初めての恋。


灯里とは学校が違うためその後会うことはなかったが、あの日の出会いは玲士の心の中で輝く思い出として残っていた。

だから入社式で灯里に再会したとき、運命を感じた。

灯里と自分が出会ったのは運命なのだ、と……。




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