悪魔のようなアナタ【完】



それから2年。

同僚として一緒に過ごすうちに、玲士の胸の中でこの出会いは運命だという思いはさらに強くなっていた。

10年ぶりに息を吹き返した初恋はいつしか大樹へと育ち、止めようと思っても止められないほどに成長していた。


なのに……。


「……っ!」


玲士はダンと拳を壁に叩きつけた。

押さえられない苛立ちと嫉妬が玲士の心に広がっていく。


晃人が灯里をどう思っているのかはわからない。

けれど少なくとも、灯里の中では玲士より近い位置にいるのだろう。

でなければ、あんな目をするはずがない……。


「灯里……」


玲士は呟き、ふっと窓の外を見た。

いつのまにか西の空に雨雲が湧き立ち、ぽつぽつと地面に雨粒が落ち始めている。

まるで自分の心のようなその光景に、玲士は大きくため息をついた……。



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