永遠の愛
愛する為に
「…ごめん、美咲」
「……」
暫く経ってギシィっとベッドが弾む。
ベッドに腰を下ろした翔は、深く息を吐き捨てて再び口を開いた。
「美咲よりずっと近くに居たのに気づいてなくてゴメン…」
「……」
壁側に顔を向けてるあたしには翔の表情なんて全く分かんないけど、悲しそうにそう言った声だけは確かに聞こえた。
「お母さん、検診行ってなかったらしい。5年前、摘出してからはずっと必ず行ってた」
「……」
「だから今も俺はてっきり行ってると思った。いつも大丈夫ってそう言ってたから。…なのにそれさえも気づいてなく――…」
「…癖」
「え?」
小さく呟くあたしの声に、翔は声を少し上げる。
「ママの悪い癖。昔っからママは行かなかったから」
「……」
「別に…翔の事を責めてないよ。この一ヶ月間、身近に居たのはあたし。でも、そんな身近に居たのに気づかなかった」
ホントにママの悪い癖だよ。
でも、この1カ月一番身近に居たのはあたしなのに…
あたしなのに、何も気づかなかった。
「…美咲?明日、休めば?」
「休めないよ。…授業しなきゃいけない」
「そっか。じゃあ昼行って。俺、夜行くから」
「うん」
…ありがと。
ベッドに身を入れて来た翔に抱きしめながらその日はいつの間にか眠りについていた。