永遠の愛
「…美咲ちゃん?」
昼休み。
自動販売機の所で不意に聞こえた声に振り向く。
いつもの場所で、壁に背をつけてタバコを吸っている一条くんが目に入る。
「何かあった?」
そう言って首を傾げる一条くんに咄嗟に首を振る。
「何で?」
「美咲ちゃんの授業、何言ってんのか分かんなかった」
一条くんはフーッと息を吐き捨ててあたしを覗き込むように見つめる。
「あ…。ご、ごめん」
思わず出た言葉に顔を顰める。
「あー…分かんなかったって言うのは嘘で、何回か同じ事言ってた」
「…ごめん。って言うか、一条くんちゃんと聞いてくれてんだ」
「もちろん」
「教科書もノートも開けてないのに」
「でも、ちゃんと耳には入ってる」
「…そっか。頭いいんだね」
「つーか、そんな事よりなんかあった?いつもと違う」
左手をポケットに突っ込んで壁に背をつけている一条くんは短くなったタバコを右手でギュッと灰皿に押し潰す。
「…ちょっと調子が悪いだけ」
そう言ったあたしは自販機から珈琲を取り出しプルタブを開けた。