永遠の愛

「ねぇ、昨日の男の人って美咲センセーの彼氏?」


頬を緩めて食いつくようにそう言ってくる天野さんにコクンと頷く。


「…うん」

「うっそー!凄い、凄い!彩吹 楓っ、カッコいー」


天野さんの叫んだ声で思わず目を見開いてしまった。


「…え?天野さん…知ってるの?」

「知ってるも何も、ナンバー1ホストだったじゃん!」

「……」

「今年の3月で辞めたんでしょ?もったいないっ!!」

「って言うか、天野さん良く知ってるね」

「だって凄い有名でしょ?」

「そう…なのかな」

「やだ!センセー彼氏でしょ?彩吹楓は売れっ子だったじゃん!!あたしと10個離れててもそれくらい知ってるよ?月給3千万以上あったんでしょ?」

「…えっ!?そうなの?」

「月に1億売り上げたって話も聞いたことあるけど?」

「ほんとに?」


ビックリしてるのは紛れもなく、このあたしだ。

天野さん以上に驚いてるのは、このあたし。


「え?センセー何で知らないの?」


逆にまた驚く天野さんは不思議そうにあたしを見つめた。


「そー言う話しした事無い」

「そーなのっ!?だけど、ほんとに美咲センセー凄いっ!女の人達の中であの人を知らない人なんて、あんまいないよ?」


そう言って天野さんはニコっと微笑んだ。


ごめん、その知らないのってあたしだったんだよね。

そー言えば、ホストの世界の翔の事なんて一度も聞いた事がなかった。


だけど初めて知った時、葵も知ってたくらいだ。

そんなに凄いの?
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