永遠の愛
ママの症状なんて何も変わってない。
別に良くなってるわけでもなく、凄く悪くなってる訳でもない。
けど、顔は正直なのか宜しくない表情。
あたしが帰って来た一か月前、いい顔色って思ってたのはなんだったんだろうか。
「病院で先生に聞いた?」
「…え?」
落としていた視線を上げると、翔はそう言ってタバコに火を点けた。
「詳しく聞いてないだろ。今までの経緯」
「あー…うん」
あの時…手術をしてから何にも体調面なんて聞いてない。
ほとんど毎日のように行ってたけど、そんなの何も聞いてなかった。
「ストレスが原因で癌を招き起した…とも言えるらしいって。三年前までは確実に病院に行ってて、でも次第に行かなかったらしい」
「……」
「仕事が手離せなくって、何度かキャンセルしてたみたい」
「……」
「多分、それがカナリの進行をさせてたと思うって」
「……」
ホントに何も変わってない、ママの悪い癖。
“大丈夫だから”よくそう言ってたママは昔っから行ってなかった。
グッと込み上げてくる涙を堪えながら、あたしはソファーに膝を立てて、その上に顔を伏せた。